それじゃ、沐浴してきますね。」
子どもが連れて行かれ、先生は後の処置を始めた。
お腹を押して後産。
そして、会陰縫合。
「抜糸はするんですか?」
「いえ、しませんよ。溶ける糸を使いますからね。
処女は無理でも、初産婦ぐらいまでは戻しますからね。」
「友人が、先生は会陰の縫合は上手だって言っていましたよ。」
先生と話しながら、時々糸が引っ張られるような感じを覚える。
その時、少なからず出血したようで、血で滑って縫いにくそうだった。
縫合後、「出血が止まらんなぁ・・・」
何枚も手袋を替えながら、子宮に手を入れ
「ここに筋腫があるからなぁ・・・」
ガラスのくちばしのような器具を入れ、ガーゼで血を吸い取っていく。
結構痛い・・・
少し収まりかけて、ガーゼを詰め、
「様子を見ましょう」
分娩台の上で横になって、右手は点滴2本
左手は血圧と心拍数の測定器
「ピーピーと鳴ったら、このブザーで呼んで下さい。
ブーの時は良いです。
他に何かあったときもブザーを押してください。」
看護婦さんを残し、先生は自宅(自室)へ。
看護婦さんは、他の処置をしていた。
外にいた夫へ
「出血が止まらなかったら手術」といったそうだ。
両家に生まれたことと、手術のことを電話してくれたようだった。
万一、手術のためにもう一人の看護婦さんも休みのところを呼ばれたようだった。
前回の入院の時からお世話になっていたので、
顔見知りで、よく話していた人だった。
夫も分娩室に入り、側についてくれた。
頭を優しく撫でて、「お疲れさん」
「電話してくれた?」
「うん」
「俺ね、立ち会うつもりだったとよ。
いっときしたら中に入れてくれるかと思った。
早かったね。早くても8時か9時と思ったのに。」
「私もびっくりした。」
看護婦さんが、
「ななさん 良かったね。切らんですんで。
先生は常に安全第一だからね。筋腫があったから切ることをすすめられたのよね。
私たち、そのことをすっかり忘れて、出るのにね。なんていってたのよ。
でも、2人目はもっと出血するだろうから、帝王切開で、
子宮も取ることになるでしょうね。
でも、2人目の望みが出ただけでももうけものよ。
出血も止まりそうだし。」
途中、看護婦さんがいない時、点滴が無くなってブザーを押したら
先生が飛んできて 「どうしました?!」
「大丈夫、点滴がなくなっただけです。
先生もやっぱりピリピリしてあるのよ。」
後で聞いた話によると、
出血多量で、子宮摘出の場合、意識が無くなる直前に手術を開始するため
生死の境目だそうで・・・
「血圧が45を切ったら脳死だよ・・・」
そういうこととは全く知らずに、自然分娩できた喜びに酔いしれていた。
3時間が過ぎ、8時ごろになって、看護婦さん2人に抱えられて病室へ・・・
今日一日は安静。
部屋に着くとすぐに朝食が来た。
「もう食べて良いのかな?」とおもいつつ、少しずつ食べた。
というより、夫が食べさせてくれた。
思ったより食が進み、ペロッと食べてしまった。
1日ゆっくりしながら、職場や友だちに出産報告をした。
看護婦さんが頻繁に出血の具合を確認に来た。
そのたびに「大丈夫ですね」の声に安心させられた。
夜、看護婦さんが ゆっき〜を病室につれてきてくれた。
記念写真とビデオを撮った。
毎日、新しい表情を見せてくれるゆっき〜。
パパそっくりのしぐさを見せるゆっき〜。
成長を続けているゆっき〜。
人として、あるべき姿を忘れないで 大きくなってネ。
そして、ゆっき〜のことを愛して止まない
パパ・ママ・おじいちゃん・おばあちゃんをはじめ、
多くの人たちが いつも見守っていることを忘れないでね。
可愛い親孝行娘 ゆっき〜へ
