その夜中、2時半ごろ、トイレで目が覚めた。
ベッドに戻って、横になってしばらくして(3じごろ)
お腹の中で「パチン」とはじけた音がした。
「破水するかもしれない」
なぜかそう思ってトイレに行った。
お腹が痛くておしっこが出ない。痛みが治まったとたん出た。
部屋に戻って、母親学級のプリントを広げ、時間をつけた。
また痛くなった。
10分間隔・・・
夫にお腹が痛いと告げ、2人でプリントを見、時間を見た。
ゆっくりと深呼吸を繰り返した。
夫はずっとお腹をさすってくれた。
30分たって(3時30分)「念のため病院に電話してみよう」
ということになり、電話をすると
「今から見てみましょう」とのこと。
いそいで着替えて、「念のため入院セットも持っていこう」
義父母に病院に行くと告げて家を出た。
前の道は工事中だった。
車に乗って病院へ・・・
シートを倒して 横になりながら、前面のデジタル時計に目をやる。
2分毎に痛みがやってくる。
前をノロノロ走る車に、夫はやきもきしている様だった。
パークウェイ経由で産院へ
およそ4時ごろに着いた。
すでに看護婦さんが玄関に待機していた。
すぐに診察台の上に・・・。下着を取ると、少し出血していた。
内診をすると、先生が
「これは上手く出るかもしれないな」
「本当ですか?」
痛みの中にも喜びがあふれた。
(やっぱり陣痛だったんだ。 自然分娩できるんだ。)
一度 病室へ行きトイレへ。浣腸をすることをはじめて知った。
でも、痛みで恥ずかしがっている暇もなかった。
下着を取替え、着ていた服も
分娩用の帯の無い浴衣のようなもの(術衣?)に取り替えた。
あの痛みの中でも、着物の合わせをつい考えてしまった。
夫は部屋で待たされ、私はすぐ分娩台の上へ。
すでに先生は準備が整っていた。
分娩台に足を置いた。
診察台のつもりで置くと、「ここに足を置くんですよ」
いきむためだそうで、踏ん張りやすいつくりになっていた。
その後、両足にはカバーがかけられた。
消毒をしたり、点滴をしたりするうちに
「いきみたくなったら いついきんでも良いですよ」 と言われた。
「えっ?もう?」
痛みが強くなり、自分なりにいきんでみる。
「まだまだいきみ方が足りん」
何度か繰り返すうちに、会陰切開をした。
痛みが繰り返す。
「今度は一緒にいきんで見ましょう。
2回吸ってはいてを繰り返して、3回目に吸ったらいきむんですよ。
吸って・はいて・吸って・はいて・吸って・ハイいきんで。」
「お尻に力を入れて!」
「体(頭)をぐぐっと持ち上げて 押し出すように!」
「足を踏ん張って!」
看護婦さんと先生の言葉に、少しずつ要領を得ながら、
でもまだ上手くいきめない・・・
看護婦さんの
「お母さんが頑張らんと、赤ちゃんは出て来れないんだよ。
もう頭が見えてるんだから 頑張って!」
の声に励まされて、力を込めた。
先生が、「次のいきみで出しましょう」といった。
「あぁ・・・もう少しなんだ。そんなに進んでるんだ。」と思った。
次の痛みまで少し間があった。
弱い波の後、徐々に強い波がやってきた。
2回の深呼吸。そして、満身の力を込めた。
体中から抜け出るようにするりと抜け出てきた。
「まだいきみをやめないで!」
力が抜けそうになって、声がかかった。
そして産声・・・
全部が抜き取られて、さっと時計を見た。
午前5時丁度・・・
「5時だ」
その時、看護婦さんも「5時丁度ですね」
ビニールのシートをお腹の上に掛け、
「手を下に入れて抱っこしますよ。」
子どもをシートの上に乗せられた。
「女の子だ!」
嬉しくて黙っていると、
「ほら、お母さんよって声をかけてやらんね」と先生。
照れながら
「あなたが入っていたの。良かったね。よく生まれてきたね。」
と声を掛けた。